観光客がバリ島から国外退去(強制送還)になる理由で最も多いのは、在留許可に合わない就労やビジネス、そして在留期限の超過(オーバーステイ)の2つです。2026年10月5日から9日にングラライ入国管理事務所が強制送還した外国人10人もこのパターンで、全員が入国禁止リストに登録され、一定期間インドネシアに再入国できなくなりました。
2026年10月に何があったのか
Okezone(2026年10月17日RCTI+掲載)とbali.liveによると、10人の内訳は次のとおりです。
- 在留許可の目的外活動 6人。米国人(ALY)は許可された場所以外で活動し、ヴィラを宣伝していました。投資家向け在留許可を持つオーストラリア人2人のうち、NAは投資について虚偽の申告をし、JAはBKPMが事業許可を取り消した後も営業を続けていました。ロシア人(ED)は飲料広告のモデルとして働き、ドイツ人(RM)は二重パスポートを使用。ウクライナ人(AK)は新しい許可の手続き中に認められるブリッジングビザでチャングーのDJとして働いていました。
- オーバーステイ 2人。アルジェリア人が87日、オーストラリア人が78日の超過。
- 窃盗で服役した元受刑者 2人が刑期終了後に送還。
ングラライ入管のムハマド・ノフヤンドリ所長は、定期的な入管パトロールで発覚したと説明しています。こうした事例は以前からあり、2024年9月にはシンガラジャ入管が、SNSでヴィラを宣伝したアライバルビザのオーストラリア人を、商業活動にあたるとして強制送還しました(インドネシア国家警察サイトinp.polri.go.id報道)。
法的根拠は?
2011年法律第6号(入国管理法)で、これまで3回改正され、最新は2024年法律第63号です。第75条は、危険な活動をしている、治安や公共の秩序を脅かすと合理的に疑われる、または規則を尊重・遵守しない外国人に対し、入管職員が行政措置を科すことを認めています。措置は在留許可の制限・取消し、特定場所への立入禁止、費用徴収から強制送還まであります。行政措置なので、裁判を経ずに送還が決まります。
刑事事件になった場合、第122条は在留許可を故意に濫用したり目的外の活動をした外国人に、最長5年の禁錮と最高5億ルピアの罰金を定めています。実際にはほとんどの観光客が送還「だけ」で済みますが、刑事罰の条文は存在します。
送還につながりやすい行為
- 訪問ビザでの就労。DJ、バーでのライブ演奏、有料のヨガやサーフィンのレッスン、顧客の撮影、広告モデル、ヴィラやカフェ向けの有償コンテンツ制作など。ビザ免除入国やアライバルビザは観光用です。リモートワークやボランティアについては観光ビザでのリモートワーク・ボランティアで解説しています。
- 許可範囲外のビジネス。無許可のヴィラ貸し、許可取消し後の営業、投資家許可のための虚偽申告。
- 60日を超えるオーバーステイ。60日未満は1日100万ルピアの費用を支払います。60日を超えると第78条第3項により送還と入国禁止の対象です。料金と支払い方法はバリのオーバーステイ罰金(1日あたり)を参照してください。
- 公共の秩序を乱す行為。暴れる、けんか、寺院や神木での不適切なポーズ、支払い拒否、危険運転など。近年のバリでの送還の多くは、拡散された動画がきっかけでした。
- 刑期を終えた後。窃盗や薬物などで有罪となった外国人は、通常刑期終了とともに送還されます。
送還後はどうなるのか
一般的な流れは、在留許可の取消し、帰国便が確保されるまでデンパサール入管収容施設(Rudenim)での収容、そしてングラライ空港で職員に付き添われての搭乗です。航空券は原則として自己負担です。その後、入国禁止リストへの登録が申請されます。
入国禁止の期間は? 2011年法律第6号第102条は当初6か月(延長可)と定めていました。2024年の改正後、当時のシルミ・カリム入管総局長は、入国禁止は最長10年で、さらに10年延長できると説明しています(2024年9月24日の書面声明、Metro TV引用)。薬物やテロなど安全への脅威とみなされる場合は無期限の入国禁止もあり得ます。期間は個別に決められ、報道で公表されることはまれです。
影響は入国禁止期間より長く続くこともあります。他国のビザ申請で送還歴を問われることがあり、多くの海外旅行保険は法律違反に起因する費用を補償しません。
トラブルを避けるために
- 出発前に、予定している活動がビザの種類に合っているか確認しましょう。コンテンツと引き換えの無料宿泊を含め、インドネシア側から何らかの見返りを受けるなら就労とみなし、入管か正規のビザ代行業者に確認してください。
- 在留期限を記録し、切れる前に延長手続きを。職員に求められたらパスポートを提示できるようにしておきます。
- 特に寺院や儀式の場では現地のルールを尊重しましょう。概要はバリ島の観光客向けルールにまとめています。
- 取り調べや拘束を受けた場合、大使館・領事館に連絡する権利があります。手順はバリで警察に拘束されたときの権利を参照してください。
出典:Okezone/RCTI+(2026年10月17日)、bali.live、2011年法律第6号および2024年法律第63号、Metro TV(2024年9月)、inp.polri.go.id(2024年シンガラジャの事例)。確認日:2026年10月23日。
よくある質問
日本やオーストラリアからの旅行者で、泊まったヴィラの写真を投稿しただけです。違反になりますか?見返りのない個人的な投稿は就労にあたりません。報酬、割引、無料宿泊などの見返りを受けた場合や、自分のビジネスを宣伝した場合に問題になります。2024年のシンガラジャの事例も2026年10月のALYの事例も、ヴィラの宣伝が発端でした。
送還されると前科がつきますか?いいえ。強制送還は行政処分であり、判決ではありません。前科がつくのは、第122条などで起訴され有罪になった場合です。
数日のオーバーステイでも送還されますか?いいえ。60日未満なら、通常は出国前に空港で費用を支払えば済みます。送還と入国禁止は、60日を超える場合やほかの違反がある場合に適用されます。
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