法律上は買えません。インドネシアではアモキシシリン、シプロフロキサシン、アジスロマイシンなどの抗生物質はobat keras(処方薬である「劇薬」)に分類され、パッケージには赤い円に黒いKの文字が付いています。薬局は医師の処方箋がある場合にのみ渡すことができます。クタでもウブドでもロビナでも、地元の人にも旅行者にも同じルールです。
法的根拠は?
劇薬の区分は劇薬令(St. 1949 No. 419)に由来し、表示は保健大臣決定No. 02396/A/SK/VIII/1986で定められています。処方箋に基づく調剤を含む薬事業務は政令51/2009で規定され、現在は保健法(法律17/2023)が大枠です。抗生物質の適正使用については保健大臣規則28/2021という指針もあります。
薬剤耐性(AMR)の問題から、政府は抗生物質の自由販売を抑えようとしています。インドネシアには薬剤耐性対策の国家行動計画があり、保健省は「Gema Cermat(賢い薬の使い方運動)」を展開し、食品医薬品監督庁BPOMも抗生物質は処方箋が必要だと繰り返し呼びかけています。
でも売ってくれる薬局もあるのでは?
はい、実際の運用は必ずしも規則どおりではありません。小さな薬局の中には薬名を言えば処方箋なしで渡すところもありますが、大手チェーンやクリニック併設の薬局はたいてい断ります。これを当てにしないでください。違反した販売者は処分の対象になり得ますし、手に入った薬が病気に合っていない可能性や、診察なしの用量が間違っていることもよくあります。買う側を罰する規定は見つかりませんでしたが、試してよい理由にはなりません。
バリで合法的に処方箋を得る方法
- 24時間の旅行者向けクリニックはクタ、スミニャック、チャングー、ウブド、サヌールにあり予約不要。医師が診察して処方箋を出し、クリニックの薬局で受け取れます。費用の目安は保険なしの医療費の記事へ。
- ホテルやヴィラへの往診。通常はクリニックに行くより高くなります。
- オンライン診療:HalodocやAlodokterなどのアプリで、インドネシアの免許を持つ医師が必要と判断すれば電子処方箋を発行し、提携薬局で受け取りや配達が可能。対面診察なしでは抗生物質を処方しない医師もいます。
- プスケスマス(公立保健所):軽い症状なら安価ですが、朝は待ち時間が長く、英語が流暢でないスタッフもいます。
旅行中の下痢に抗生物質は必要?
旅行者下痢症の多くは数日で自然に治り、抗生物質は不要です。いちばん大切なのは水分補給。経口補水塩(oralit)は薬局やミニマートで自由に買え、緑の丸(一般用医薬品)や青の丸(制限付き一般用医薬品)のマークの下痢止めは処方箋なしで買えます。詳しい対処法と受診の目安はバリ・ベリーの記事をご覧ください。
高熱、血便、水分がとれないほどの嘔吐、子どもや高齢者の脱水症状、3日以上続く症状があればすぐ受診を。こうした場合に抗生物質が必要になることがあり、種類は医師が決めます。
自国から抗生物質を持ち込める?
個人使用で常識的な量なら可能です。元のパッケージのまま、処方箋か医師の証明書を添えるのが望ましいです。数量の上限や書類については処方薬をバリに持ち込む記事にまとめています。
自己判断で飲むリスク
抗生物質はウイルスには効かないため、風邪や多くの下痢には役立ちません。途中でやめたり種類を間違えたりすると耐性菌が生まれ、副作用も現実にあります。発疹、胃腸の不調、アレルギー反応、服用中の他の薬との相互作用などです。たとえばシプロフロキサシンには腱障害の警告があります。だからこそ処方箋が必要なのです。
普段飲んでいる薬のパッケージと有効成分名を写真に撮っておきましょう。バリの医師は自国のブランド名より一般名のほうが早く代替薬を見つけられます。
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